【なぜ英語が上達しないのか?】
よく日本人は勉強はできるのに島国だからか恥ずかしがってアウトプットしないから英語がいつまでたっても話せないと聞きます。それは間違ってます。本当に足りないのは、母国語の理解力(知識不足)と英語のインプット不足です。
もちろん、アウトプットも非常に大事なのですが、スラムダンクの安西先生風に言うと、「インプットを制する者はアウトプットを制する」と言っても問題ないと筆者は思います。その理由を、今回は解説します。
【英語が話せないのは日本人が怠けているから】
よく日本人は勤勉で勉強熱心だと言われていますが、それはひと昔前の話かもしれません。
筆者が海外留学をしたとき、一番驚いたのは筆者含め日本人の怠惰さでした笑
韓国、中国、タイ、ブラジル、コロンビア、フランス、サウジアラビアなど各国から英語を学びにくる学生は多かったですが、単純に勉強熱心で単語量などに驚きました。スピーチでも日本人の話す英語のボキャブラリーは非常に乏しかったのを覚えています。
コミュニケーションの基本は相手を理解すること、文章を読む、話を聞く、そして正しく理解することで初めて良質なコミュニケーションを取ることができるのは言うまでもありません。つまり、多くの言葉を知り、聞き、理解することが最初のステップです。
よく分からない単語を調べたら、聞いたことない日本語だった…という経験がある方も多いのではないでしょうか。日本語で活字を読む量が圧倒的に少ない場合、語彙力が弱い可能性が高いので、第二言語を習得するのに必要とする時間は非常に長くなります。
【日本語で理解できることは英語でも理解できる】
日本語で理解できることは英語でも理解できます。つまり、日本語で理解できないことを英語できないということです。
例えば、ビジネスについて話したければ、先ずはビジネスについて勉強し、理解し、日本語で話せる様になる必要があります。経済の動きを体型的に日本語で理解できない状態では、英文記事を読んでも理解できないですよね。
よく海外営業マンが陥る罠は、英語ができないから商談中にうまく相手に伝わらない、と勘違いしてしまうことです。気づくべきポイントは日本語で理解できていないことを、英語で伝えることはできないという当たり前に気づくことです。もしその内容が技術的な議題であれば、その製品の技術的特性や課題をしっかりと日本語で理解していなければ、英語で話をすることはできません。
よくある事例として、欧米の英語技術者と片言英語の日本語技術者で会話が成立してしまうことです。なぜなら、技術を理解しているから、相手が何を聞きたいのか、何を知りたいのか、単語単語でも言語の壁を越えて「ある程度」は理解してしまうことがあります。
そもそも例を挙げると、世界的なインフレを理解していれば、インフレという言葉からどの様な内容の会話なのかを一瞬で理解して、返答することができるでしょう。一方でインフレを日本語で理解していなければ、インフレが良い事なのか、悪い事なのか、意見を伝えることすらできません。ポイントを理解できるかできないかは議題について理解度が大きく影響します。
この事実から、皆さんも先ずは日本語で記事を理解して、英文記事を読むと理解度が高まる経験があると思います。商談が上手くいかないのは、英語能力が低いからとは限らず、そもそも日本語ですら理解できていない可能性が高い、単なる知識不足である場合が多いことを理解しておきましょう。
【母国語と英語は密接に繋がっている】
言語能力が高い人は語学学習が得意な傾向があります。例えば、次の文章を読んだり、聞いたりしたとしましょう。すぐに的を射た意見を書いたり、話したりできるでしょうか?
“Total births in Japan fell 4.7% in the year through March to just over 850,000, according to new data published Tuesday by the health ministry, as uncertainty over the coronavirus accelerates the country’s demographic crunch. What do you think of this matter ?”
「厚生労働省が火曜日に発表した新たなデータによると、2021年3月までの1年間の日本の出生数は85万人余りと4.7%減少した。新型コロナウイルス感染拡大を巡る不確実性が国の人口減少の危機を加速している。あなたはこの問題をどう思いますか?」
この英文を読んだり、聞いたときに、そもそも厚生労働省の意味が分からない人、人口減少/少子化が日本の問題との認識をしていない場合、この記事に対する理解力は低くなり、意見をアウトプットすること自体、難しいでしょう。また、英文赤字部分の一部でも意味が分からなかった場合、その他の単語を理解できたとしても、記事の伝えたい重要な部分を理解できません。
一方で仮に日本語記事を先に読み、内容を事前に理解していた場合はどうでしょうか?
Fellは分からないけどBirthsは出生だから少子高齢化問題の部分で4.7%は減少したと考えて間違いないとか、the health ministryは厚生労働省かなど、元々日本語でインプットしていた知識を組み合わせて推測する力があります。これは非常に重要なことです。また、少子化進行が社会や個人に与える影響について自分なりの意見を言える可能性が高いのではないでしょうか。
【インプットが予測文法能力を高める】
インプットを大量に繰り返すと予測文法力が身に付きます。そもそも母国語で会話をしているとき、会話の流れから相手が次に何を話すかを予測することができるはずです。
常に予測しているからこそ、そのギャップに笑いが起きたり、怒りが生まれる訳ですね。
それは圧倒的なインプット(経験)があるから予測ができるのです。
翻訳機には圧倒的なインプットがないと機能しないのは理解できますよね。
そもそもインプットした知識以上の会話をすることはできませんし、お笑い芸人や知識人の話が面白く、興味深いのは、自分の予測を裏切る語彙力や展開力、知識があるからです。
英語でビジネスをしていれば、メールの出だしに「i’m afraid that~」と書いてあれば、ポジティブなニュースを期待する海外営業マンは少ないでしょう。まさにこれはしっかりとしたインプットがあるから予測できるのです。
このように多くのインプット(経験)があるからこそ、自然と質の高いアウトプットができるようになるのです。新人営業マンが先輩の電話を横で聞き、会議での振る舞いを横で学ぶ内に、自然とお客様への言葉遣いや振る舞いを学んでいくのと同じことです。圧倒的な量と質のインプットが土台にあって、初めてアウトプットを練習することが必要になります。
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