海外営業、地域・国別に必要な英語力目安は? 英語を使う業務は?

ビジネス(海外営業B2B)
グローバルな仕事をしたいと思っているけど、実際に海外営業マンってどの程度の英語力が必要なのか分からず、一歩踏み出す事ができない方は多いのではないでしょうか。
TOEICを勉強していたり、転職を考えている方も多いと思いますが、必要な英語力はどの地域・国とビジネスをするかによって変わってきます。
今回は筆者が実際に経験のある各地域・国別(南米・アフリカ・オセアニア以外)で最低限必要になる英語力を解説します。
今回はあくまでも英語力に焦点を当てており営業力やプロジェクト推進力等は考慮していません。どの国を担当しても本質的な営業力が必要になりますのでご理解ください。

【海外営業で英語を使う場面と心得】

海外の顧客・サプライヤーとの英文メール

英文メールを使って顧客の要望を伝えたり、発注や納期調整など様々なやり取りが発生しますので、まずは読み書きができることが大前提です。

英文メールを作成するときに特に注意が必要なのは、分かりやすく書くことです。
難しい言い回しや単語を多用することは好ましくなく、目的はシンプルに正確に伝えることです。
基本的には相手が確実に理解できる文章を送るが鉄則です。

ひとつの単語でも立場や使い方によって意味合いが異なることがあります。
えば、Delivery(配達)です。サプライヤー側は工場出荷日や船の出荷日を意図しているのに対し、あなたはお客様への納入日を意図していると勘違いするケースが考えられる非常に扱いが難しい単語です。おすすめなのは相手側とあなたの間で共通認識を作ってしまうことです。お客様への納入はArraival(到着)を共通用語として使うなど、工夫をしてみましょう。

海外の顧客・サプライヤーとの電話

電話は緊急を要する場合やメールを送ってから直接意図を伝えたいときに使用します。国内営業と同じで電話をする前にはしっかりと伝えたいポイントや知りたい情報を確認しておきましょう。普段はすごくフレンドリーに見える海外取引先も忙しい時に要点がはっきりしない電話は困ってしまいますので要注意です。

始めのうちは簡単な確認事項でも事前にメモをして、何を伝えるかを意識するべきです。
やはり英語を話す、聞くをビジネスで行うのと、日常で行うのは違います。相手に伝えたいことが届いているか?相手から得たい回答が受け取れたか?を意識していきましょう。

電話口でクエスチョンマークが少しでも頭に浮かんだら、勇気を出してもう一度確認を求めたり、繰り返してもらう必要があります。あなたの英語力に関係なく、相手の英語力も関係してきますので、少しでも疑問があれば、必ず明確にする努力が大切です。

海外の顧客・サプライヤー来日時、お客様と海外訪問時の通訳

海外営業をすれば必ず必要になる業務は通訳です。表敬訪問や工場監査など多くの場面で海外取引先と国内取引先の間でコミュニケーションの架け橋になる必要があります。海外営業マンとしての力が試される場面です。

特に重要なのは専門知識をしっかりと勉強し、英語で説明・理解ができるように日々準備をしておく必要があります。日常会話であれば国内取引先もある程度できる方も多いですので、海外営業マンは微笑ましく見守ってあげるだけで事足ります。一方でビジネスは別です。各国のビジネスの状況、製品に関する技術的説明、サプライヤーの製造工程に関する説明、またこれらの説明に対する質問に明確な回答を引き出すなど英語で行う必要があり、ここが本番です。

重要なのは「日本語で説明できないことは英語で説明できない」を意識することです。
よく自分が理解できていないことは相手に教えるとができないと言いますね。
ただ英語が話せて聞ければ良いわけではなく、通訳の裏には業界知識や製品・製造に関する知識がなければ、顧客の望む回答や情報を得ることができません。

海外営業は言葉のごまかしが効かないので、日々の勉強を大事にしましょう。

英語での会議・交渉

海外営業の代表的な業務と言えば、英語での会議と交渉です。価格、納期、発注数量、使用の調整、技術的改善、クレーム、補償、など、ときにハードに交渉をしていく必要があります。

海外企業相手に交渉するには相手の文化や性格、そして商習慣を理解していなければスムーズに進めることができません。例えば、東アジア、東南アジア、米国、欧州、アフリカなど人の気質も様々ですし、日本に対する感情や印象も千差万別です。

つまり、各国の人々は日本人をどう思っているのかや、彼らは通常どの様な交渉スタイルや商習慣を持っているのかを把握していることは大きな強みになると言うことです。

論理的思考がより必要な国はどこか?感情で動きやすい国はどこか?契約か口約束か?
など日々の業務の中で理解を深めていくことが大きな成長を生みます。

書類作成・契約書

海外営業マンの仕事は地味な業務が多いのも事実です。やはり、書類の翻訳や契約書の作成など英語を日本語に、または日本語を英語にする作業があります。

現在は翻訳機などもあり、定番の会社紹介資料などはある程度正確に変換してくれるので便利ですが、やはり手直しが必要です。特に技術的資料や製品紹介資料などは翻訳機を使用すると誤訳が多くあり、専門性が高ければ高いほど海外営業マン自身の手で見直しと翻訳作業が必要になります。

また、契約書を読んで理解する、変更を依頼する業務もあります。
契約書に関する知識が必要になり、勉強が必須ですが、契約書の英文は少し独特な言い回しや馴染みのない単語が多く使われていますが、慣れればポイントを押さえることができるでしょう。

海外出張

最後は海外出張です。仕事で海外にタダで行けるなんて最高!と海外営業に憧れる方も多いかと思います。本音としては「確かに最高だけど大変」です(笑)。

海外出張には目的がありますので、その準備に大きな労力を必要としますし、求められている結果と共に日本へ帰ってこなければいけません。会社もタダで海外出張には行かしてくれませんし、出張中は並行してその他の仕事が溜まっていきますので、調整能力が必要です。

一方で現地のローカルフードや海外の街の雰囲気を楽しむことはもちろんできますから、仕事をタフにこなして、夜は美味しい料理を楽しむなんてことも可能です。「大統領のように働き王様のように遊ぶ」なんて言葉がありますが、そんな出張が理想かなと筆者は思います。

【各地域・国別、英語力目安】 

【レベル1:東アジア諸国】 TOEIC750点

東アジアは韓国・台湾・中国・香港・マカオ等の国がメインです。

簡単な目安として必要な英語力は、学生時代に3か月程の留学経験とTOEIC750点程の実力があれば海外営業職として東アジア諸国の担当ができるレベルでしょう。最低でも700点は必要です。

日々の業務はメールや電話でのやり取り中心になります。
正直な話、東アジア諸国の方々は実際に日本語が達者な方も多く、海外営業として入社しても実際の実務は取引先の日本担当者と日本語なんてこともよくあるのが現実です。もちろん、英語しかできない海外取引先もまだまだ多いので、海外営業としての役割を実感できる場は大いにあります。

特に韓国、台湾はご飯も美味しいですし、海外出張も移動時間が短く比較的楽なので、まずは海外営業としてスタートする場を求めている方にはおすすめの地域、国ですね。 

一方でビジネス規模にもよりますが海外営業職としてのスキルアップは東アジア諸国を担当してもなかなか難しいのが現実でしょう。市場価値をどんどん上げていきたい方には英語力をさらに向上する必要があります。中国に関しては少し特別で、中国語ができて中国の商習慣をよく理解できている場合は市場価値を高めやすく、好待遇での海外営業職に就ける可能性も高いので中国語ができる方にはおすすめします。 

【レベル2:東南アジア諸国】 TOEIC800

東南アジアはタイ・インドネシア・シンガポール・ベトナム・マレーシア等の国がメインです。

簡単な目安として必要な英語力は、留学、またはワーキングホリデー等で1年間以上英語圏で生活した経験とTOEIC800点程の実力があれば海外営業職として東南アジア諸国の担当ができるレベルでしょう。

日々の業務はメールでのやり取りに加えて、電話やWEB会議で実際に現地スタッフと連携して業務を進めていく必要があります。東アジアよりは英語力の必要な印象です。

海外出張には6~8時間程飛行機に乗る必要もありますし、東南アジア諸国の方々は人柄が大らかで細かな事を気にしない人が多いですから、日本との商習慣の違いから現地スタッフとの意思疎通に苦労する事もあります。このような苦労もあると思いますが、しっかり伝える事を意識してコミュニケーションを取れば必ず理解を共有できますので意識してみてください。

東南アジア諸国の現地スタッフは英語力もそれなりに高く、聞く、話すといった対面でのコミュニケーション能力がある程度必要になってきます。日頃から英語を聞く、話す事のできる環境を構築できると仕事に支障のない英語力を身に付ける、維持することができるでしょう。  

【レベル3:欧州、米国】TOEIC850点

ドイツ・イタリア・フランス・オランダ等のヨーロッパの国とアメリカがメインです。

簡単な目安として必要な英語力は、英語圏で実際に数年生活をした経験と、最低限TOEIC850点以上の実力があれば海外営業職として欧州・米国の担当ができるレベルでしょうか。

日々の業務内容はメール、電話、WEB会議をしながらプロジェクトを進めていく事になり、契約文化という背景もあり、複雑な書類、契約書の作成を始め、海外のお客様・サプライヤー来日、または訪問時のアテンドなど想像以上にレベルの高い業務を担当する事になります。

また、時差も大きく、出張時には12時間以上のフライトが必要になりますし、日々の環境の中で意識的に英語力を磨き続ける必要があるなど、タフな精神的とより高い英語レベルが求められます。

筆者の体感ではレベル2とレベル3の間には大きな差があります。
英語力はレベル2で通用していても、レベル3では苦労をするのではないかなと思いますので、このレベルの業務が本当にやりたいのかを事前に考える事をおすすめします。 

一方で間違いなく英語力含めビジネス力は欧州、米国の方々と日々やり取りする事で成長を実感できるため、足りない部分を実感しながら市場価値をさらに高めた方にはぜひチャレンジして欲しいと思います。

もちろん、それぞれの国で得られる力は違いますので、一概には言えませんが、英語力という面では確実に欧州、米国担当は高いレベルであり、市場価値が高まるでしょう。 

【まとめ】

ひと言に海外営業と言っても、担当地域や国によって必要な英語力も変わってきます。
入社後や転職後に思っていたより英語を使わないと感じたり、予想以上のことを求められてキツイといった状況になる人も多いです。自分がどのレベルの業務を海外営業として行っていきたいのかを事前に考えておけば、ギャップに苦しむことを予防できますね。一方でどの地域や国を担当しても、今後は日本国内市場だけで売上を拡大することは難しい環境の中で、必ず役に立つ人材となれるはずです。

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