海外営業に必要な貿易知識

ビジネス(海外営業B2B)
海外営業を目指しているけど、営業力や語学力以外にどんな知識を勉強し準備をすればいいのかという疑問について今回は解説していきます。

【海外営業に必要な主な知識一覧】

  • 貿易知識
  • 貿易の流れ
  • 為替知識

他にも細かな必要知識はありますし、当然ながら営業スキルに加えてある程度の英語(語学力)がなければ勤まらない職種ではありますが、日本と海外の架け橋となり海を越えての商取引に必ず必要な知識をひとつずつ解説していきます。

【貿易知識】

海外営業として貿易をすることで得られるチャンスは下記の通りです。

市場を海外に広げる(輸出)

日本国内の優れた商品を海外へ販売し市場を広げることで、国内の何倍もの市場を国外で獲得することができます。

日本にない商品を扱うことができる(輸入)

日本の市場に海外の新しい商品、より安価な商品を調達することで、新たな市場を国内で開拓することができます。

このように海外営業の仕事は輸出入をすることで付加価値を生み出しているので、貿易に関する基礎知識は把握しておかないと海外との商取引をスムーズに行うことができません。

貿易取引は、一般的に国内取引に比べ輸送距離が長いため、輸送に時間がかかるとともに、輸送上の事故による貨物の変質や損傷などの損害が発生するリスクも高くなります。このリスクを回避するために、危険負担範囲を事前に取り決めるとこが重要です。

インコタームズ

前述の通り、貿易取引には運送上のトラブルが発生することが多々あります。そこで、輸送中の貨物損害の危険負担範囲に関する世界共通の取り決めがインコタームズです。

インコタームズ(Incoterms/International Commercial Terms)とは、国際商業会議所(ICC)が貿易取引における費用負担・範囲などの取引条件を定めた国際規則です。世界で最も広く採用されるもので、1936年に制定されて以来、数次にわたって改正が行われ、直近では2020年1月に発効されました。

インコタームズの狙いは、各国で異なる貿易取引条件の解釈について、誤解や行きちがいを回避することです。貿易取引では商品自体の代金に加え、運送料、保険料、通関費用、関税など、さまざまな費用が発生しますが、輸送時にも多くのリスク、輸送する際のリスクや費用を誰がどの範囲まで負担するか、インコタームズに明記されます。

船便での取引では、FOB、CFR、CIF条件が特に多く見受けられますが、取引国によって注意すべき点は異なりますので、慎重に検討する事をお勧め致します。また、各商取引に最適なインコタームズを使用することでコストパフォーマンスが高く、より安全な輸送を実現できます。

【貿易の流れ】

商品・取引先(市場と取引企業)の選定

必要に応じて貿易相手となる調達先、または売り先を探します。
商品が国内外の各種法令の対象となるか、関税などもチェックが必要です。
また、取引先が信頼に値するかの調査なども場合によっては行いましょう。

貿易先へのコンタクト、契約交渉と締結

商品を国内から輸出するのであれば、売り先へ営業をかける必要があります。

逆に海外から商品を輸入するのであれば、調達先へ要求を満たす商品があるか確認します。

その後、商品価格、決済通貨、決済方法や時期、品質や仕様、数量、輸送方法と引渡時期、梱包条件、検査方法や時期、アフターサービス、PLの扱い、トラブル時の対応等、売買やインボイスの諸条件について取り決めます。

輸送途中に荷物のトラブルがあった際の責任分担、商品の引渡し場所や保険など、貿易取引条件(前述のインコタームズ)についても取り決めを行います。

貿易の際の輸送手段の取り決め

通関業者を通じ、Boat(船)、Air(飛行機)の予約など輸送手段の確保や、輸送中の事故などに備えた保険付与を行います。貨物のサイズによってはクーリエ便(宅配便)を使用するなど、各取引ごとに最適な輸送方法を使用します。

貿易の通関手続き

通常は輸出者側で輸出通関、積込の手続きを行います。
国境輸送の後、輸入通関手続きは輸入者側で行います。

貿易の決済

輸入者は代金を支払い、貨物を引き取ります。
これで貿易の一連の流れが完結します。

【船積書類一覧】

貿易取引を行うにあたって国内営業では取り扱わない書類の作成ややり取りが必要になります。

積送貨物の財産権を完全に表すものとして国際貿易界で認められている商用書類。単に書類(ドキュメンツdocuments)ともいう。通常、送り状、船荷証券、および保険証券の三つの書類からなるが、仕向国により、これ以外に領事送り状、または税関送り状、さらに原産地証明書などを必要とすることもある。

  • インボイス・パッキングリスト(梱包証明書)
  • B/L=船荷証券(運送契約書、貨物引取証、貨物受取証、有価証券)
  • 保険(保険料請求書)
  • 原産地証明書
  • 検査証明書

より詳しく貿易知識を勉強したい方は、ジェトロのHPを活用してみてください。

ジェトロ(日本貿易振興機構)https://www.jetro.go.jp/

【為替知識】

自国通貨と異なる通貨で取引する場合、自国通貨へ交換する際の外国為替相場は経済的、政治的、市場的要因で日々変動するため、為替の変動リスクが発生します。

特に相場の変動が激しい場合は、売買の利益がなくなる可能性もあるため、予めリスクの回避策を講じておく必要があります。

方法としては、取引通貨を自国通貨とすることが確実ですが、それが難しい場合は、為替予約など将来の一定期日に一定の為替相場(レート)で外貨を売買することで為替リスクを回避します。銀行と通貨種類・金額・為替相場・受渡時期 などの条件を取り決める契約となり、多くの企業で使用されているリスクマネジメントです。

また、為替変動によって輸出・輸入のそれぞれの競争力が変わる点も理解が必要です。

円高の場合

円高とは1ドル=100円だった為替相場が1ドル=80円になることで、1ドル分のものを買うのに、100円払っていたところが80円ですむようになることで、円の「価値」が高まります。

一般的には輸出には不利で、輸入には有利になります。

円高になると、輸出品価格が海外企業にとって高くなるので国際競争力が低下し、輸出が減少します。一方、国内企業にとって輸入品や輸入原材料の価格は安くなります。

輸出:海外企業は1ドルで100円分買えた製品が、円高になると1ドルで80円分しか買えない。つまり、国内企業にとっては売値が高くなり国際競争力が下がる。
輸入:国内企業は100円で1ドル分しか買えなかった製品が、円高になると80円で1ドル分買えるようになる。つまり、100KGのトウモロコシを仕入れるとき、同じ数量をより安く仕入れることができる。

円安の場合

円安とは1ドル=100円だった為替相場が1ドル=120円になることで、1ドル分のものを買うのに、100円払っていたところ、120円も払わなければならなくなることで、円の「価値」が低くなります。

一般的には輸入には不利で、輸出には有利になります。

円安になると、輸出品価格が海外企業にとって安くなるので、よく売れるようになります。
輸出産業は活性化し企業の設備投資も促進され、景気はよくなります。

一方、国内企業にとって輸入品や輸入原材料の値段は高くなります。

輸出:海外企業は1ドルで100円分しか買えなかった製品が、円安になると1ドルで120円分買えるようになる。つまり、国内企業にとっては売値が安くなり国際競争力が高くなります。
輸入:国内企業は100円で1ドル分買えた製品が、円安になると120円で1ドル分買うことになる。つまり、100KGのトウモロコシを仕入れるとき、同じ数量を購入するにも多くの円を支払うことになります。

もちろん、各取引先企業によっては円やドル、ユーロなど保有しており、同じ通貨を使用して決済できる場合もありますので、一概には全てのケースが上記に当てはまる訳ではありませんが、一般的には貿易による商取引の場合、為替レートの変動によって為替リスクはつきまといます。

海外営業マンとして輸出入に携われる場合は、輸出入のバランスをとることも非常に重要です。どちらかが為替変動によって好調だからと片方だけに力を入れていると、為替レートが大きく変わったときに、売上が大きく低下するなどのリスクもあります。

【まとめ】

海外営業には国内営業とは違った知識が必要になります。
貿易知識や為替知識は特に重要な知識となりますので勉強をしておきましょう。
日々、世界経済に注目したり、証券資産に投資をするなどを通して為替に注目してみるのも良い勉強になるでしょう。

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